新卒で海外就職は絶対辞めておけ! 〜海外就職の不都合な真実〜


最近、新卒で海外就職をする人が増えてるらしい。
 

自分の身近にもベトナムやインドでインターンし、そのまま海外の現地企業に就職を決めた大学生の友人が何人かいる。
 

インターネットの求人サイトを覗くと、「海外で様々な経験が積める」「英語力が伸びる」「残業がない」等、様々な美辞麗句が並べられている海外就職。
 

しかし、自分自身もシンガポール(日系企業)から香港(非日系)と海外を渡り歩いたが、その経験から言うと新卒での海外就職は絶対にオススメできない
 

今回は日系企業における海外就職の不都合な真実を暴露し、新卒にはオススメしない3つの理由を紹介しよう。
 

 

新卒で海外に就職したい場合、働ける企業はどんなところ?


まず初めに、日本の大学を卒業予定の新卒が、海外で就職したい場合、どのような企業が雇ってくれるか考えてみよう。
 

日本の大学を卒業予定の新卒が、中国語や英語が堪能でも、海外の企業、例えば中国であれば、アリババや騰訊(テンセント)、アメリカであればGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の様な外国資本の企業を受けても、まず採用されない。
 

その理由は、就労経験のない新卒なら、ビザが必要な日本人より、自国の新卒を雇った方がはるかにコスパが良いからだ。
 

わざわざ、コストをかけて就労経験のない外国人を雇うメリットがないのだ。
 

そうなると日本の大学を卒業予定の新卒が、海外で就職するには以下の2パターンの企業しか選択肢がない。
 

日本の新卒でも就職できる海外企業
・日系企業の現地法人
・日系の現地スタートアップ
 

これらの日系企業であれば、就労経験のない新卒でも就職できるチャンスは大いにある。
 

ますは新卒で海外就職はオススメしない理由を述べる前に、日系の海外現地法人などが、海外で事業を展開しているのも関わらず、わざわざ日本人を欲しがる理由について説明しよう。
 

日系の海外現地法人が日本人を欲しがる理由


日系企業の海外現地法人や現地の日系スタートアップが、日本人をわざわざ雇うのは何故だろうか?
 

日系企業の海外現地法人の場合を考えてみよう。
 

例えば、香港に進出した日系企業があるとする。
 

海外の現地法人といえども、日本資本であり、トップが日本人である限り、ビジネスのやり方や社内ルール、慣習などは日本式になる。
 

では、その日本式の慣習を香港人のスタッフに当てはめるとどうなるだろうか?
 

定時で帰宅しようとする社員がいたら・・・
 

日本人部長
まだみんな残って残業しているよ。何故帰ろうとするの?
 
香港人スタッフ
みんなが残業しているのは、管理職のマネージメント能力が低いからでは?
 

社員に異動を命じたら・・・
 

日本人部長
君には、来週から総務部に異動してもらう。
 
香港人スタッフ
その仕事は、私のジョブディスクリプションに入っていません!
 

あくまでも一例だが、価値観も慣習もビジネスマナーも違う人間に、日本式のルールを当てはめるとこの様なケースが多々あるのだ。
 

だから、会社としては、日本式のルールに黙って従ってくれる人間が、喉から手が出るほど欲しい。
 

だが、本社から駐在員として、人を派遣すると日本での給料に加え、現地での生活費や渡航費、住宅費、さらに家族同伴の場合は、その子女教育手当など様々なコストがかかる。
 

会社の命令で、半ば強制的に海外に派遣させるのだから、安全面や環境などにも考慮して、各種手当も充実させる必要があるのだ。
 

多くの会社にとって人件費は、固定費の中で最も大きな費用になる。
 

だから会社は、できる限り安く、しかも日本式のルールに黙って従ってくれる人材が欲しい。
 

そんな会社側の希望を満たす格好のターゲットが、所謂「現地採用」と呼ばれる「海外で就職してみたい日本人」になるのだ。
 

「現地採用」であれば、会社の命令ではなく、向こうから人がやってくる訳だから、駐在員の様に各種手当を出す義理がない。
 

物価の安い国であれば、日本で年収400万だった人が、東南アジアでは現地の物価に合わせて、200万で働いてくれるといったことが起こる。
 

経営者側にとっては、日本の慣習を熟知していて、自分の都合よく働いてくれる人材が格安で雇えるのだから、こんなにコスパがいいことはない。
 

「現地採用」は会社側にとって、コスパ最高の都合の良い人材なのだ。
 

現地採用としての海外就職のメリット


日本の海外現地法人に直接雇用契約を結ぶ「現地採用」は会社側にとって、コスパ最高の都合の良い人材だが、働く側にもメリットがある。
 

現地の習慣に習って残業がなかったり、仕事後の飲みニケーションと呼ばれる「おじさんの武勇伝の発表会」に参加しなくても良い場合があるからだ。
 

「場合がある」と書いたのは、「現地採用」でも日本人というだけで、残業をさせられたり、飲み会に強制参加させられるケースも稀にあるからだ。
 

それでも日本の労働環境と比較すると、自分の自由に使える時間が多いケースが大半だろう。
 

実際、自分の知っている「現地採用」として日系の海外現地法人で働いている日本人は、この時間を使って副業をしたり、より給料の高い非日系企業にステップアップする準備をしている。
 

会社と従業員、お互いがドライな関係で雇用関係を結べる。
 

それが「現地採用」として日系企業で働くメリットでもあるのだ。
 

新卒で海外就職は絶対オススメしない3つの理由


ここまで記載したのが、「現地採用」として海外に拠点を置く日系企業で働くことの真実だ。
 

自分の時間を確保したい人や海外でステップアップしたい人には良い働き方だが、就労経験のない新卒には絶対オススメできない働き方でもある。
 

それは何故か?
 

先に紹介した様に会社側から「コスパ最高の都合の良い人材」と思われているからか?
 

実はそうではなく、新卒には絶対にオススメできない理由が別のところにある。
 

前置きが長くなったが、次に新卒で海外就職は絶対オススメしない3つの理由を紐解いていこう。
 

優秀な外国人は日系企業を選ばない


日系の海外現地法人や人材紹介会社が、海外就職に対して謳っている文句の1つに「外国人と働ける」というものがある。
 

だが、新卒で一番重要なのは「外国人」と一緒に働くことではなく、いかに「優秀な人」と働けるかだ。
 

新卒で入った会社で学んだビジネスに対する思考法、マインド、ルール等は、この先の人生に大きな影響を及ぼす。
 

優秀なロールモデルとなる上司や先輩、切磋琢磨できる同僚が社会人1年目で周囲にいるかいないかで、その先の人生は大きく変わってしまう。
 

優秀なロールモデルとなる人に、外国人も日本人も関係ない。
 

だが海外の日系企業で働く外国人は、残念ながら優秀な人は多くない。
 

以前にも紹介したが、下記は上海にある日系の海外現地法人に勤める中国人の友人の言葉だ。
 

中国人の友人
(日系は)給料安いから、できる人は来ないよ
 

海外の優秀な人材は、より給与の高い欧米や中国資本の会社を選ぶのだ。
 

日系の企業の給与が低い理由は2つある。
 

1つは、すでに日系企業に高い給与を支払う余裕がないことだ。
参考:日本の給料が安い理由。優秀な人はもう日本を選ばない。
 

そして、もう1つの大きな理由に日本の人事評価制度がある。
 

日本の企業は「結果」より「在籍年数」を評価する傾向があり、結果を出しても「在籍年数が少ない」または「若い」というだけで適切な報酬が支払われない。
 

以前、シンガポールにいたころ、日本のとある大企業のシンガポール現地法人の社長に若くしてなった人に会って、下記のような話を聞いたことがある。
 

シンガポール現地法人の社長
今の日本の給与体系では、優秀な人はすぐに引き抜かれてしまう。
 

本当に優秀な人は日系企業は選ばない。残念ながらこれが現実だ。
 

新卒で入社するのなら、日本の中で優秀な人が少しでも多い環境を選んだ方が、新卒で海外就職するより、何倍もメリットがあるのだ。
 

会社の評判が見極めにくい


現在は、インターネットで検索すれば、Vorkersの様な社員による会社に対する評価を集めたサイトなど、企業の評判や風土、労働環境などの情報は簡単に手に入る。
 

このようなサイトの登場で、求職者が企業をより選別でき、就職活動における情報の非対称性は解消されつつある。
 

これは海外でも例外ではなく、日本同様、社員による会社に対する評価を集めたサイトなどが存在し、求職者は簡単にその企業の内情を知ることが出来るのだ。
 

しかし、ここで問題なのは日本人が海外で就職する場合だ。
 

社員の口コミにしても書かれている言語は、その国の母国語であり、タイの日系現地法人であればタイ語で書かれているし、ベトナムであればベトナム語になる。
 

働く国の母国語が出来れば良いが、英語以外の外国語出来る日本の新卒はそうはいないだろう。
 

企業の情報が得られないと、入社してから「思っていたのと違う」「話が違う」といったギャップに直面する可能性も高い。
 

それこそ「残業はない」と言われながら、日本人のみ残業や日本人のみ強制的に飲み会に参加といった日系企業の話はしばし聞く。
 

自分にあった会社を探すことやブラックな企業も回避するためにも、こういった口コミの情報は現代の就職活動では必須なものになる。
 

しかし、求職者にとっては、海外の企業は中々、情報を得にくいというハンデが存在するのだ。
 

海外の人にとっては、転職は一般的で、労働条件が悪ければすぐ次の会社に移っていく。
 

日本人も海外で働くなら、真似をしたいところだがそう簡単には行かない。
 

海外の企業でも、日系企業の様に採用に日本人が関わっているのならば、転職はマイナス印象になるからだ。
 

日本国内でも応募に「転職回数3回まで」といった、世界の潮流から逆行した条件を掲げる企業は未だに存在する。
 

求職者に「会社に対する忠誠心」を求める日本企業にとって、転職は「裏切り行為」になるのだ。
 

特に若いうちに転職を繰り返していると問題のある人材に見られかねない。
 

海外就職と言えども、日系企業に勤めている間は転職回数にも気を使わなければならないのだ。
 

日本で働くことによって得られるスキルがある


自分は新卒で日本の会社に入社して7年程働いた。ここで培った仕事に対する姿勢や周囲の人間への気配りや調整力、細部へのこだわりは他の国の人には真似できないものだ。
 

これらの日本での仕事を通じて身につけたものは、海外に出ても大きな武器になる。
 

海外での仕事は質や細部より、スピードが重視される傾向があり、かつ周りの意見を考慮する前に自己を主張をするというのが当たり前の環境だ。
 

生まれながらに、そのような環境で育ってきている人たちと同じ武器や土俵で勝負しても勝ち目はない。
 

だからこそ、彼らが真似できない仕事への細部へのこだわり、周囲への気遣いと調整力といったもので付加価値を生み出していくのだ。
 

なぜ多くの日本人サッカー選手が、サッカー強豪国のドイツで活躍できるのか?
 

それは日本人選手が、ドイツ人選手にはない「全体を俯瞰してチームを良い方向に導く調整力」や「監督の目指すサッカーを理解して、実行に移す戦術理解力」といったもので勝負しているからだ。
 

近年、日本のJリーグを経ず、高校卒業と同時に海外へ挑戦するサッカー選手も出てきた。
 

しかし、Jリーグで日本人としての特性をプロレベルで体感する機会のなかった彼らは、中々結果が出せないで苦戦いる。
 

未だに高校卒業と同時に海外へ挑戦したサッカー選手の中で、A代表に定着した選手はいない。
 

ビジネスの世界でも同様のことが言える。
 

幸い仕事において、この日本人らしさを真似できる国は中々ない。
 

だからこそ、日本人らしさを武器に戦うのが、海外で一番早く結果を出す方法なのだ。同じ土俵で勝負しても勝ち目はない。
 

そのために日本の大学生にとって、世界で戦える武器を日本で身につけるのが最初のステップになる。
 

いきなり新卒で海外就職してしまうのは、何も武器を持たずに戦いに行くのと同じなのだ。

最後に

以上が、新卒で海外就職はオススメできない海外就職の不都合な真実だ。
 

海外の日系企業に人材を紹介して手数料を得ている人材紹介会社や日系海外現地法人から見れば、この記事は営業妨害に他ならないだろう。
 

しかし、求職側として「なぜ人材紹介会社の人達が新卒でも海外就職をオススメしてくるのか?(人材を紹介することで手数料が手に入るから)」「なぜ日系企業の海外現地法人がわざわざ日本人を欲しがるのか?(コスパが良いから)」と言った、その裏にある相手の行動原理や物事の本質を見極める目は持っておくべきだ。
 

「海外就職」は人と差別化できるユニークなキャリアと言えども、武器がないまま海の向こうに戦いに出ても戦えない。
 

社会人一年目という感受性が豊かな若い時の周囲の環境というのは、その人の思想や行動原理に一生涯に渡って大きく影響する。
 

日本で日本人の長所である武器を磨いた後に、海外に出ても遅くはない。
 

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