日本は人種差別のない素晴らしい国!?


少し前に、スペインのサッカークラブ、FCバルセロナ所属のフランス代表の選手が、日本人を侮辱したとしてニュースになった。
 

この事件は日本のみならず、アジア各国でも大きく取り上げられ、彼らのSNSでは非難の声に溢れた。
 

この一連の事件を見ていて、個人的に感じたことがある。
 

それは日本人の「海外からの人種差別」と「日本人の人種差別」への反応の違いだ。
 

日本人は「海外で起こった人種差別」と比較して、「日本国内で起こった人種差別」に、かなり疎くなってしまっている。
 

言い換えると、海外で起こった「日本人への人種差別」にはかなり敏感になっているが、自分たちは人種差別はしないと思ってしまっているのだ。
 

これはどういうことか?
 

そこで、今回は「日本人の人種差別に対する意識」について取り上げてみよう。
 

 

アジア人差別に対する日本人の意識の変化

人種差別の中の1つに「アジア人差別」がある。
 

これは以前から、世界中に至る所で発生していたが、最近まで当の日本人は
 

井の中の蛙
日本人は世界中から尊敬されている。差別されるはずがない!!
 

と信じて疑わず、特に大きな声をあげてこなかった。
 

その証拠となる事件を1つ紹介しよう。
 

日本人は特別な存在で人種差別とは無縁?


2018年、イタリアのファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナ(D&G)のデザイナー、ステファーノガッバーナが中国(アジア人)を侮辱する発言し、中国のすべてのECサイトから、ドルガバの製品が撤去されたことがあった。
 

この事件に対して、多くの日本人は、これを「欧米ブランドvs中国」という構図で見ており、ステファーノガッバーナの言動は、中国だけに向けられたものと考え・・・
 

日本人A
自分たちには関係ないね!
 

日本人B
日本は中国や韓国とは違う!
 

と言った風に日和見的なものの見方をしていたのだ。
 

自分自身も日本の外に出るまで、心のどこかで日本は特別な存在で、人種差別とは無縁だと思っていた。
 

自分が小学生の頃は、
 

先生A
日本は戦後の焼け野原からGDP世界第二位までになったすごい国!
 

先生B
アパルトヘイト下の日本人は名誉白人として讃えられていました。
 

等々、日本を褒め称える内容のものが多かった。
 

さらに、テレビを始めとした多くのメディアでは、
 

レポーターA
日本は世界から好かれています!
 

レポーターB
日本の技術はすごい!
 

と日本を礼賛。
 

しかし、現実は違う。
 

日本人の多くがバルト三国(ラトビア・エストニア・リトアニア)の区別がつかないように、アジア以外の地域の人達からは、アジアの国々の区別、特に日本、中国、韓国の区別はつかないのだ。
 

世界の多くの人々は、日本、中国、韓国が違う言語であることも、ソニーとサムスンとファーウェイが、それぞれどこの国の会社なのかもわからない。
 

だが、多くの日本人は、そのことに気づかず「日本だけは特別な国」と思い込んでいたのだ。
 

「日本人は世界からどう見られているのか」という点で、日本と世界では深い溝が存在していったと言えよう。
 

アジア人差別に対する日本人の今後の方向性について、中国のドルガバ事件から学べ

2019年1月31日

日本人は人種差別される側と気付かされたコロナ


そんな「自分たちは特別」だと思っていた日本人に転機が訪れる。
 

それがコロナだ。
 

欧米を中心に、コロナで職がなくなり余裕を失った人々が日本人を含めたアジア系の移民を攻撃・差別するようになる。
 

しかも、その人種差別する側の多くは、比較的賃金の低く、困窮しやすい黒人だった。
 

日本では、歴史の学習において、黒人は「差別される側」と教えられる。
 

そんな(差別される側だと思っていた)黒人に攻撃されるニュースが度々流れる様子は、多くの日本人にショックを与えたのだ。
 

加えて、人種差別に敏感な昨今の欧米で、黒人は差別されると社会問題になるのに、アジア人は差別されても全く問題にならない。
 

ここでようやく日本人は・・・
 

日本人
もしかして、日本人は差別される側なのかも・・・
 

日本人
もしかして、日本人の地位は低いのかも・・・
 

と世界における自分たちの立場に気付き始めたのだ。
 

そこで冒頭のフランスのサッカー選手の大炎上につながる。
 

日本人
声を上げなければ、なめられる!
 

このフランスのサッカー選手の件も、数年前の日本なら、ここまで炎上しなかっただろう。
 

勘違い
日本人は世界中から尊敬されている。差別されるはずがない!!
 

と思っていたからだ。
 

良くも悪くもコロナが、日本人に「日本人は世界からどう見られているのか」というのを教示したと言えるだろう。
 

アジア人差別はなぜ起こるのか?その理由とは?多い国は?

2020年9月29日

日本は人種差別のない国?


コロナを機に、世界での自分たちの立場に気付き始めた日本人。
 

海外の人達からの人種差別に、アジア人として、また日本人として声をあげることは、大事な事だと思う。
 

しかしながら、今の日本は「差別される」のには敏感だが、「差別する」ことには非常に鈍感な状態にある。
 

以前、様々なバックグラウンドがある友人達と食事をしていた時、その中の一人(英国出身)が・・・
 

英国出身
英国では、まだまだ根深い差別がある。。
 

と言うと、1人の日本人女性が・・・
 

偏差値42
日本は差別のない国だよ!
 

と真顔で述べていたことがあった。。。
 

日本は差別のない国。
 

はたして、これは本当だろうか?
 

ここまで極端でなくても、「日本は差別の少ない国」「日本人は人種差別をしない」と思っている人は多いのではないだろうか?
 

日本に蔓延る人種差別


冒頭のフランス代表の選手が、日本人を侮辱したというニュースが流れると、彼らのInstagramに、多くの日本人からの抗議コメントが書き込まれた。
 

その中で目立ったのが、サルやバナナの絵文字の書き込みだ。
 

書き込んだ日本人達は軽い気持ちでやったのだろうが、サルやバナナの絵文字は世界的には、立派な差別行為だ。
 

「目には目を」という事かも知れないが、れっきとした人種差別であることは否定できない。
 

そんなことをしている人のInstagramを見ると、子供の写真をたくさんポストしている子を持つ親の立場の人だったりするのだ。
 

また、ここ香港では、ある日系企業のトップがSNSで香港人を侮辱するような発言をして、その会社の製品の不買運動まで起こっている。
 

ベトナムでも同様に、ある日系企業のトップがSNSでベトナム人を侮辱するような発言をして、大炎上した。
 

しかし、こういったことは、あまり日本では報道されていない。
 

フランスのサッカー選手の侮辱発言が、当のフランスであまり報道されないことに憤る日本人は多いが、日本でも自国に都合の悪いことは報道されないのは同じことなのだ。
 

もっと大きな目で見てみると、21年7月に米国が世界各国の人身売買に関する報告書を発表した。
 

その中で、日本の外国人技能実習制度を「外国人労働者搾取のために悪用し続けている」として問題視。
 

以前からも、外国人技能実習制度は「現代の奴隷制度」と言われ、国際的に批判されているにも関わらず、日本のメディアは全く報じない。
 

日本では中国のウイグルやミャンマーのロヒンギャの問題が、人権侵害として度々報道されているが、それと同じことがごく身近で行われているのだ。
 

日本人の中にある白人リスペクトとアジア人差別


上記の外国人技能実習制度の件は、政府の問題であり、
 

多くの日本人には関係ない!
 

政府は差別しても日本人は差別しない!
 

といった意見もあるかもしれない。
 

では、もっとミクロな視点で見てみよう。
 

自分が日本で働いていた頃の話だが、どんなに繁忙期でも必ず定時で帰宅するエストニア出身の白人の同僚がいた。
 

彼が定時で帰宅しても、日本人の上司や同僚達は・・・
 

上司
彼は外国人だから仕方ないな・・・
 

という雰囲気になる。
 

しかし、同じことを中国人や韓国人、東南アジア出身の同僚がするとどうなるだろうか?
 

日本人からの評価が・・・
 

上司
勤務態度が不真面目だ!
 

同僚
あいつは空気が読めない!
 

となるのだ。
 

これは本人達のパーソナリティの問題ではなく、一種の「レイシズム(人種差別)」と言える。
 

日本人なら認めたくない事実だと思うが、日本人の中に無意識な欧米人への憧れとリスペクト。そして、他の人種への優越感。こんな差別が確かに存在しているのだ。
 

以前の海外での写真のポーズ事情「ピースするのは日本人だけ」な訳がない!にも書いたが、日本では「写真の時にピースをするのは日本人だけ」と言われている。
 

しかし、実際はアメリカや西欧諸国を除き、多くの地域で写真時にピースサインは使われているのだ。
 

では、なぜ「ピースをするのは日本人だけ」と言われているのか?
 

それは日本人にとって、「海外」というのは欧米だけを指し、その他の地域は存在しないに等しいからだ。
 

だからこそ、写真を撮る時に「アメリカや西欧諸国はピースをしない」→「海外ではピースをしない」→「ピースをするのは日本人だけ」という論理がまかり通る。
 

この様に、日本には他の国にはない異常なまでの「欧米(白人)信仰」と「他人種への優越感」が確実に存在している。
 

先のエストニア人の同僚の話のように、同じことをしても「欧米の白人なら許せる」が「中国人なら許せない」といった人種によって扱いが異なることが、日本で当たり前の光景になりつつあるのだ。
 

これを差別と言わずに何と言うのか?
 

多くの日本人は「自分たちは人種差別はしない」と思っているが、誤解を恐れずに言うと、それは今までの日本には外国人が少なく、差別する機会がなかっただけで、日本人の心の奥底には人種差別を行う大きな偏見を内包しているのだ。
 

海外での写真のポーズ事情「ピースするのは日本人だけ」な訳がない!

2021年3月15日

意外と難しい人種間の交流


先のフランスのサッカー選手の件で、多くの日本人は「フランスは人種差別が激しい国」という印象を抱いた。
 

もちろん、これは否定できない事実かもしれないが、上記で述べたように日本人も同じように人種差別を行う大きな偏見を内包している。
 

フランスで人種差別が目立つのは、日本と比較して様々な人種が混在する多民族国家だからだ。
 

日本は「高齢化」において課題先進国と言われるが、「多様性」ではフランスが課題先進国なのだ。
 

人種間の交流は、一般に想像するより遥かに難しい。
 

以前、南米のボリビアで、2週間ほど、スペイン語を取得するために学校に通ったことがある。
 

その学校は、様々な国々からの生徒がいたが、授業以外ではいつも同じ人種で集まっていた。
 

白人は白人同士、アジア人はアジア人同士、アラブ人はアラブ人同士と言った具合に。
 

また、ある日系企業のトップはインタビューで、米国留学時代を回想して、こんなことを言っていた。
 

とあるCEO
カフェテリアの真ん中の席はいつも白人が占めていて、僕たちアジア人はいつも隅の方に座っていた。
 

このように異人種間の同士の交流は、異国同士の交流より遥かに難しいのだ。
 

残念ながら、差別はどこの国で存在する。
 

その解決策を、人類はまだ見出せていない。
 

だからこそ、間違っても、
 

偏差値42
日本は差別のない国だよ!
 

と言ってはいけないのだ。
 

アジア人差別はなぜ起こるのか?その理由とは?多い国は?

2020年9月29日

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