駐妻はうざい?駐在員妻が日本の競争力を落とす理由


先日、とあるSNSでこんなハッシュタグ見た。
 

#駐在員妻じゃない
 

これは海外に住むとある女性経営者のSNS投稿につけられたものだ。
 

日本では「駐在員妻」と言えば、一種のステータスといった雰囲気がある。
 

なぜ、彼女はわざわざ「駐在員妻じゃない」というハッシュタグを付けたのだろうか?
 

これは海外に住んだことがあり、様々な外国の人と交流したことがある人のみが感じる「駐妻」への違和感を表しているものだと思う。
 

そこで今回は、海外在住者として、この「駐妻」への違和感を語っていこう。
 

 

駐妻ブランドは日本だけ!?


インスタグラムで「駐妻」というハッシュタグは約7万、「駐妻ライフ」に至っては約15万回以上使用されている。
 

またネットで検索すれば、駐妻のブログを星の数ほど目にすることが出来るだろう。
 

そして、その多くは海外での生活の華やさを紹介するものばかりだ。
(もちろん、海外での生活は華やかなことばかりではないが。。。)
 

このSNSやネットからの傾向からもわかるように、「駐妻」と言えば、日本ではちょっとしたステータスなのである。
 

ここで改めて、駐在員妻、いわゆる「駐妻」の実態を考えてみよう。
 

彼女たちは、夫の海外赴任に帯同した妻。つまり専業主婦である。
 

自分の妻(香港出身)は、結婚前に専業主婦についてこう述べていた。
 

香港人妻
離婚や死別を考えたら、専業主婦なんてリスクが高すぎるよ!
 
 

また自分は結婚前に、中国・上海出身、台湾出身の女性とそれぞれ2年交際していたが、奇しくも2人とも同じことを言っている。
 

中国人(元)彼女
離婚したり、旦那さんが先に死んじゃった場合、自分で稼げる手段がないと生活できないでしょ?
 

台湾人(元)彼女
台湾は共働きが当たり前。
 

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彼女達から見ると、自分自身で収入を得る事こそが「自立」であって、「専業主婦」は何のステータスやブランドにはならないのだ。
 

もちろん、「駐妻」として夫に帯同する人達は、子育てなど、それぞれの「事情」があり、駐在員妻自体を否定するつもりはない。
 

「専業主婦」もまた立派な仕事の1つだ。
 

しかし、#駐妻ライフなどどハッシュタグを付けて、「駐妻」を強調しながら、アフタヌーンティーの写真をSNSに投稿している日本人女性を見ると、自身の生き方にプライドを持っているというよりも、「駐妻」をステータスやブランドか何かと勘違いしていると思わざるを得ない。
 

自身のアイデンティティが「駐妻」(会社の命令で半強制的かつ期間限定のポジションにも関わらず)。
 

海外の女性たちの価値観を照らし合わせると、日本のこの「駐妻」(の一部)と言うのは、裸の王様ならぬ、裸の女王様に見えるのだ。
 

なぜ日本では、駐妻がステータスになり得るのか?


先日、日本人の友人が香港に駐在することになり、久しぶりに一緒に飲むことになった。
 

彼に子供はいないが、6つ年上の40歳になる奥さんがいる。
 

その奥さんは、今は日本で働いているが、夫(友人)の駐在に伴い、仕事を辞め、「駐妻」として香港に赴任してくるらしい。
 

これに対して友人は・・・
 

友人
香港に来ても仕事はあるんだから、働けよって思う。暇だろ!
 

と怒りを露わにしていた。
 

彼の奥さんにとって、「駐妻」というのは自身のキャリアを中断してまで、魅力があるものらしい。
 

このように、何故多くの日本人女性にとって、「駐妻」というのは今だにステータスになりうるのか?
 

ポイントは3つある。
 

「駐妻」ということは・・・
 

その1.専業主婦であること

昨今、これだけ女性の自立が世界中で叫ばれているにもかかわらず、日本では未だに専業主婦願望の女性が多い。
 

しかしながら、現在の日本の経済状況を鑑みると「専業主婦」になれるのは、夫が稼いでいる一部の家庭のみ。
 

つまり、現在の日本で「専業主婦」というのは、家庭が裕福ということを表すものなのだ。
 

さらに、働かなくていいということは「日本の過酷な労働環境」からも脱出でき、精神的な余裕も生まれる。
 

「専業主婦」願望がある人にとって、「駐妻」というのは、会社の手厚い手当てをもらいながら、専業主婦になれるという美味しいポジションなのだ。
 

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その2.夫が優秀であること

夫が駐在員ということは、会社に選ばれた人間で一定以上の評価がされているはずである。
 

日本人女性の場合、自分自身のキャリアより、配偶者のキャリアを拠り所、自身のアイデンティティとするケースが多い。
※自分自身は、年収200万の派遣社員だが、結婚相手には大企業勤務で年収1,000万を求めるのが典型的な例だろう。
 

「駐妻」ともなれば、自身の拠り所である「夫のキャリア」が優秀であることを暗にアピール出来るのである。
 

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その3.海外で生活していること

日本は島国ゆえ、海外への強い憧れを持つ人も少なくない。
 

「駐妻」ともなれば、会社の負担で、一定以上の水準の生活が保障されて(国によっては運転手付き)、憧れの海外に住めるのだから、海外生活に憧れる女性にとっては夢のような話だろう。
 

ただし、ここでの「海外への憧れ」は欧米の国を指すケースがほとんどだ。
(アジアではシンガポールと香港がギリギリ許容ラインだろう)
 

同じ「駐妻」でも東南アジアやインドなどは、日本人女性にとってあまりステータスや自慢の対象にはならない。
 

このように「駐妻」という単語のみで、
 

・専業主婦
・夫が優秀
・海外生活
 

と多くの日本人女性が望むステータスが連想できるのだ。
 

女性の自立を妨げる駐妻ブランド


先日、アメリカで大統領選挙が行われ、バイデン前副大統領が勝利した。
 

彼の妻ジルさんは英語教師として長いキャリアを持っており、大統領の「ファーストレディー」となってからも自身の仕事を続ける意向を示している。
 

そもそも「ファーストレディー」の役割とは・・
 

ファーストレディーの役割
夫である大統領の日常の暮らしを支えるかたわら、公的には首脳の非政治的行事に参加したり、首脳の外国訪問に同伴したりする。
首脳が外国訪問に妻を伴うのは、かつて王侯が遠方へ出かける際には必ず妃を伴った習慣の名残である。

つまり、妻が遠方へ出かける夫を支えるために同伴するというのは、昔の習慣の名残なのだ。
 

「女性の自立」が叫ばれている現在、ジル夫人のように自身のキャリアを優先するのは、たとえ大統領の「ファーストレディー」でも例外ではない。
 

他の国を見渡しても、欧州ではドイツのメルケル首相、英国の・メイ前首相を始め、フィンランドでは34歳の女性首相が誕生している。
 

アジア各国では、近年で韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、ミャンマーと女性のトップが就任した。
 

翻って日本はどうか?
 

こういった話をする時、日本ではよく話題になるのは・・・
 

・育児と仕事の両立が不可能な長時間労働
・女性は昇進を阻むガラスの天井
 

といった社会構造や各企業のトップの意識が問題とされる。
 

日本で女性の社会進出が進まないのは、もちろん、こういったことが大きな要因なのは否定できない。
 

しかし、「駐妻」に代表されるように・・・
 

日本人OL
働きたくない!専業主婦がいい!
 

日本人主婦
私の夫は大手企業の駐在員!
 

といった日本人女性自身の「専業主婦願望」や「夫の社会的地位が自身のアイデンティティ」といったマインドが、女性の社会進出が進まない1つの要因と考えられないだろうか?
 

世界では、「女性の自立」と言えば、自身のキャリアを積んで自身の生き方にプライドを持つことだ。
 

だが、日本で「女性の自立」と言えば、未だ「結婚して実家を出る」位の意味合いしかない。
 

これでは日本の競争力や意識の高さは世界から、どんどん離されてしまうだろう。
 

どんなにドヤ顔をしても「駐妻」の実態は、海外に住んでいる「専業主婦」に他ならない。
 

繰り返しになるが、もちろん「専業主婦」も立派な仕事の1つだ。
 

しかし、自身のキャリアではなく、夫が持ってきた境遇である「駐妻」というポジションをドヤ顔で見せびらかしているのは、前近代的と言わざるを得ない。
 

だが、そんな日本人「駐妻」の意識も徐々に変わり始めていることも確かだ。
 

自分は過去にはシンガポール、現在は香港で暮らしているが、現地に来る20代~30代前半の日本人女性を見ていると、夫の赴任地には同行するものの、現地で仕事を見つけてキャリアを築いていく人がとても多い。(配偶者が現地で就労した場合、ほとんどの会社で家族赴任手当てが支給されなくなる。)
 

会社からの手当てと「駐妻」というポジションを捨ててまで、自身のキャリアを選ぶ女性達。
 

彼女達の世代は、英語が当たり前に話せて、多感な時期からFacebookやTwitter、TikTokなどのグローバルなプラットフォーム上で、海外の人と交流し、世界のトレンドを熟知しており、海外生活に特別な憧れを持たない。
 

今は日本人女性の「駐妻」に対する意識の変化の過渡期なのかもしれない。
 

夫の職業やポジションではなく、自分自身が何を出来るかを問われている時代。
 

冒頭の女性経営者のSNS投稿のハッシュタグ、「#駐在員妻じゃない」は、「海外に住んでいる専業主婦というだけで、得意になっている駐妻」と一緒にされたくないという心の叫びだったのかもしれない。
 


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